こちらでは簡単に『二胡(にこ)』をご紹介…

 

♪「二胡」は中国の弓奏弦楽器のひとつです。

 2本の弦の間に馬の尻尾で作られた弓を挟んだ状態で、左の膝に置いて弾きます。

 楽器の胴体部分には蟒蛇の皮が張ってあります。

 

♪唐代末(約10世紀頃)に誕生したこの楽器は ”奚琴” と呼ばれ、北方民族の楽器が伝わったとされています。当時は竹片で弾いていました。

 

 宋代に書かれた〈夢渓筆談〉という書物の中には「徐衍という人物が皇帝の前で嵇琴*を演奏し、途中で2本の弦うちの1本が切れてしまったが、曲に感情移入していた徐衍は、そのまま最後まで弾き続け、素晴らしい演奏を聴かせた」というエピソードが書かれています。

 それと同時に、このときは既に馬の尻尾の弓が使われていたとの記述も残っています。

 *この頃は‘嵇琴‘と称されていました 

 

 明代(約14世紀頃)に入り、各地で民俗芸能が盛んになるにつれ、その地方独自の劇音楽が誕生し芝居や雑技の伴奏楽器として、二胡は広く用いられるようになりました。

 そうして各地の芸能に適合した形で――たとえば京劇=京胡、広東劇=粤胡など――分化を遂げました。

 それら様々な種類を総称して 「胡琴」 といいます。

 

♪1920年代には、中国音楽は西洋音楽の影響を多大に受けるようになります。

 劉天華(1895~1932)は、二胡の音域を拡大したり、バイオリンの演奏技法を取り入れるなど二胡の表現力を飛躍的に高めました。

 一方で、二胡の独奏曲や練習曲を作曲したり、二胡教育を体系化するなど、二胡の発展の基礎を築いた第一人者です。

 

♪『胡琴』の仲間には、先ほど挙げた京胡や粤胡(現在は高胡)のほかにも、中胡や低胡、チェロのような弾き方をする革胡などがあります(音の高さは高→二→中→低→革の順で低くなります)。

 また、胴体に薄い板が張ってある板胡、長い棹の指板を持つ墜胡、弦が4本ある四胡などなどまだまだたくさんの種類があります。

 

 

参考…

<青少年学二胡>(王永徳編著 上海音楽出版社)

<中国音楽の現在 伝統音楽から流行音楽まで>(増山賢治著 東京出版)